カムフォロアというベアリングについて。構造の違いはあるの?
- 雅也 楢崎
- 5月14日
- 読了時間: 6分

カムフォロアとは?
カムフォロアの概要と用途
カムフォロアはニードルベアリングに分類され、肉厚の外輪とスタッドと呼ばれる軸 兼 内輪の間に、ニードルを組み込んで構成される軸受です。主に直線運動やカム機構のガイドローラーとして用いられる軸受で工作機械、産業用ロボット、搬送装置など、さまざまな機器で幅広く使用されています。
他のベアリングとの構造の違い
一般的なベアリングは、内輪と外輪の間に転動体(ボールやローラー)を配置し、回転運動を滑らかにするために使われます。一方、カムフォロアはスタッドタイプ(軸一体型)で、外輪は直接相手面と接触しながら回転運動するため肉厚にして衝撃荷重にも耐えられるように設計されております。
主要メーカー別のカムフォロア特徴比較
THKのカムフォロアの特徴とレビュー
THKのカムフォロアは高剛性と長寿命が特徴で、豊富なラインアップが揃っています。シール付きや高耐食タイプなどのバリエーションも多く、国内外の自動機メーカーから信頼されています。
NTNとIKOのカムフォロア比較
NTNはグリース保持力が高く、耐久性のある設計が特徴。一方、IKOは高精度・高剛性なラインアップが揃っており、特に狭いスペースでの使用に最適なコンパクト設計が評価されています。
ミスミのカムフォロアとその特徴
ミスミのカムフォロアはコストパフォーマンスに優れ、短納期対応が可能。規格品の種類が豊富で、設計段階での選定がしやすい点が魅力です。
カムフォロアの種類と選択基準
スタッドのタイプと外輪形状の違い
スタッドは一体型シャフト構造で取り付けが簡単。ねじ、油穴、切欠きの有無等、さまざまなタイプがございます。一方、外輪の形状には円筒形や球面形があり、接触面の状況に応じて選定されます。
円筒タイプ、偏心タイプなどの特徴
円筒タイプは接触面の負荷分布が均一であり、偏心タイプは取付後の芯ずれ調整が可能です。設計の自由度を高める際に便利です。
使用する環境や用途別の選択ポイント
高温環境や粉塵の多い場所ではシール付き、屋外や湿気の多い環境では防錆処理済みの製品が適しています。用途ごとの適材適所が選定の鍵です。
カムフォロアの規格と標準仕様
JIS規格に基づいた標準性能
カムフォロアはJIS規格(日本産業規格)に基づいて設計されており、互換性や交換性が確保されています。これによりメーカーをまたいだ製品選定が可能です。
外径や寸法の確認方法
選定時には外径、幅、スタッド径、ねじ寸法などを確認する必要があります。メーカーのカタログや3D CADデータを活用すると便利です。
標準品と特殊品の違い
標準品は即納対応が可能で、コストも抑えやすいですが、特殊品は特寸・高耐食・特殊シールなど仕様をカスタムできる点が魅力です。
カムフォロアの用途と使用例
カムフォロアの一般的な用途
搬送機器、カム機構、プレス機、工作機械など、回転運動と直線運動が組み合わさる場面でよく使われます。
産業用機械での活用例
インデックス関連、ATC、自動組立機、半導体装置、医療機器など高精度が求められる分野でも採用されています。
搬送システムや配管作業での利用
搬送ラインのサポートローラーやガイドローラー、または配管支持の可動部に利用されることもあります。
カムフォロアの構造と特徴
外輪とスタッドの役割
外輪は荷重を直接受け止め、滑らかな転がりを実現します。スタッド部は軸として機能します。
シール付き構造のメリット
シール付きのカムフォロアは、異物混入やグリース漏れを防ぎ、長寿命化に貢献します。メンテナンスの頻度も減らすことができます。
転動体がニードルの内部構造
ニードルローラーが使用されることで、高荷重に耐える構造となっており、コンパクトでも強度に優れた性能を発揮します。
カムフォロアの選び方と注意点
型番や規格による適合性の確認
カムフォロアは型番ごとに外形寸法やねじサイズが異なるため、機器との適合性をしっかり確認する必要があります。
必要な給脂方法の確認
カムフォロアには給脂ニップル付きや密封グリースタイプなどがあり、メンテナンス計画に応じた選定が重要です。
負荷や回転速度に応じた選択項目
負荷条件や回転速度が異なると、寿命や性能に大きな差が出ます。仕様に見合った耐荷重・回転性能の製品を選びましょう。
取り付けやメンテナンスのポイント
カムフォロアの取付方法
スタッドをねじ込むタイプが主流で、六角穴やドライバ溝の加工がされている製品が一般的。トルク管理が重要です。
ニップルやグリース給脂
定期的にグリースを注入することで、摩耗や焼付きのリスクを低減できます。ニップルの位置や種類も確認しましょう。
長寿命化のためのメンテナンス方法
定期的な清掃とグリースアップに加え、使用環境の見直しや予防保全が寿命延長に有効です。
製品の価格とコストパフォーマンス
カムフォロア主要メーカーの価格帯
NTN、THK、IKO、NSK などの主要メーカーでは、サイズや仕様により価格が変動しますが、概ね1,000円〜5,000円前後の製品が多く見られます。
用途別のコスト見込み
高精度タイプや特殊シール付きは価格が高めですが、長寿命化によりトータルコスト削減が見込めます。
価格と性能のバランスを比較
単価だけでなく、寿命や保守性、納期対応力なども含めて総合的に判断することが、最適な選定につながります。
当社の強みについて
当社はご相談いただいたカムフォロア等を設計検討から対応できます。 様々な理由で大手メーカーではできない事も当社では対応できます。 具体的にどのようなことに対応できるかというと
1. 特殊寸法や非標準品に対応できる
既製品では対応できない寸法や構造にも柔軟に対応できます。たとえば「外輪径だけちょっと変えたい」「シャフト長さを調整したい」といった細かい要求にも応えられるのは、加工図面から設計できるからこそです。
2. 一点物や小ロットでも対応可能
大手メーカーが対応しづらい少量生産にも応じられます。お客様の仕様に合わせて1個からでも製作可能で、試作段階の機械や、古い設備の置き換え部品などにも活躍します。小ロットになると1個当たりの価格は上昇します。
3. 設計から品質管理まで一貫した対応が可能
図面を起こせる=構造や機能を深く理解しているということ。各部品の意味を理解したうえで、製造、組付け、検査までトータルで品質を確保できるため、トラブルが少なく、信頼性が高いです。
4. 顧客の「イメージ」からでも形にできる
「こういう動きが欲しい」「こんな使い方をしたい」といった、まだ図面になっていない段階からでも相談に乗れます。お客様のニーズを正確に把握して製品化できるのが大きな強みです。
5. 海外製品の代替や修理にも対応しやすい
廃番品や海外製の特殊部品が壊れた場合、主要寸法が記載されている図面(仕様書)があれば同等品を再現可能。仕様書に記載のない内部寸法等は独自設計や現品を測定して図面を起こす対応もできます。
このように、仕様書や現品から設計してカムフォロアを製作できる当社の技術は、「柔軟性・対応力・技術力」の証です。 ご相談は無料で承りますので、お気軽にこちらのボタンよりどうぞ!