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カムフォロアとは?役割・種類・選び方について2025

  • 執筆者の写真: 雅也 楢崎
    雅也 楢崎
  • 6月26日
  • 読了時間: 10分

カムフォロア とは

カムフォロアとは?


カムフォロアの概要と用途

カムフォロアはニードルベアリングに分類され、肉厚の外輪とスタッドと呼ばれる軸 兼 内輪の間に、ニードルを組み込んで構成される軸受です。主に直線運動やカム機構のガイドローラーとして用いられる軸受で工作機械、産業用ロボット、搬送装置など、さまざまな機器で幅広く使用されています。


他のベアリングとの構造の違い

一般的なベアリングは、内輪と外輪の間に転動体(ボールやローラー)を配置し、回転運動を滑らかにするために使われます。一方、カムフォロアはスタッドタイプ(軸一体型)で、外輪は直接相手面と接触しながら回転運動するため肉厚にして衝撃荷重にも耐えられるように設計されております。




カムフォロアとは?基本構造と役割をわかりやすく解説


カムフォロアの定義と特徴

まず始めにカムフォロアとは何なのか?についてお答えします。 カムフォロアとは、回転運動をスムーズに伝えるために使われる特殊なベアリングの一種です。 主に産業機械や自動搬送装置などで、カム(曲線状の部品)の動きを正確に追従しながら受け止める役割を担っています。

特徴としては、外輪(外側の輪)が厚く、荷重に強い構造であること、長寿命であることが挙げられます。過酷な条件下でも安定した動作が求められる場面で多く使用されています。



ベアリング・軸受との違い

ここで出てくるご質問がカムフォロアとベアリングの違いになります。 先日公開した記事にその詳細を書かせていただいたのですが、(カムフォロアというベアリングについて。構造の違いはあるの?)こちらの記事をご覧いただいた方からのお問い合わせも早速いただいております。今回の記事と併せてご覧ください。 カムフォロアはベアリング(軸受)の一種ではありますが、一般的なベアリングとは用途や構造に違いがあります。

通常のベアリングは、回転軸の支持や摩擦低減を目的として内部に取り付けられるのに対し、カムフォロアは「外部と接触する面」を持ち、自らが転がりながら部品の動きに追従します。


特に「カムの動きを受ける」ことを前提として設計されている点が特徴で、外輪が直接カム面と接触し、動きをトレースします。そのため、構造もより頑丈になるよう外輪は肉厚で、ラジアルすきまを小さく設計することで衝撃荷重を緩和し、安定した長寿命が得られます。



カムフォロアの標準構造と主な部品

カムフォロアは、いくつかの基本的な部品で構成されています。主な部品には以下のものがあります:


  • 外輪(アウターレース):カム面と直接接触する部分で、耐摩耗性のある厚い構造です。


  • 軸(スタッド):取付けを簡易にするため、軸にはねじ加工や段加工が施してあります。


  • 転動体(ローラーまたは針状ころ):内輪と外輪の間に入り、回転をスムーズにします。


  • 保持器(リテーナー):転動体の位置を整え、均等に配置するための部品です。総ころタイプには組み込まれません。


  • 側板:転動体と外輪を押さえて、外輪が取り付け側に接触することを防ぎます。



これらの部品が一体化された構造により、カムフォロアは取り付けが簡単で、かつ高負荷にも耐えることができます。




カムフォロアの主な種類とタイプ別の特徴


カムフォロアには構造に応じた複数のタイプがあり、それぞれに特徴と適した使用環境があります。


標準カムフォロア

スタッドにはねじ加工や給油の穴が施されており、取付が簡単で機械への組み込みがスムーズ。六角穴付きやドライバ溝付き、保持器の有無等バリエーションは豊富です。省スペース化にも適しており、自動搬送装置やカム機構に多く使用されます。


ステンレスカムフォロア

金属部分はすべてステンレス鋼を使用しているため、耐食性に優れ、油を嫌う個所や水分のある環境、クリーンルームなどでの使用に適しています。


その他のカムフォロア

インチ系・ミニチュア・偏心・簡易取り付け用・複列円筒ころ等々、さまざまなタイプが存在し、各タイプにおいていろいろなバリエーション展開がされていますので、必要な仕様を選定してください。





ニードルタイプ・ローラータイプの違い

転動体の形状により、以下のように分類されます。


  • ニードルタイプ(針状ころ) 非常に細長い針状のローラーが内蔵されており、接触面積が広く、高荷重・コンパクト設計に向いています。スペースが限られる小型機械や搬送ロボットの関節部に最適です。

  • ローラータイプ(円筒ころ) 比較的太い円筒形の転動体が使われており、高剛性で衝撃荷重に強いのが特長です。産業用機械、圧延装置、重機構造部に向いています。



CF型カムフォロア・偏心タイプの特徴

  • CF型カムフォロア  「Cam Follower」の略称で代表的な形式。密封構造や潤滑機能が強化されており、長寿命設計。工場の搬送ラインやパッケージング機械で多用されます。

  • 偏心タイプ(偏心スタッド付き)  取付け時に外輪の中心を微調整できる構造で、カムとの隙間調整や位置合わせが簡単 調整頻度の高い装置や、高精度の追従が必要なカム制御機構に適しています。




各タイプの代表的な用途と適合機械

タイプ

特徴

主な用途

適合機械例

標準型

取付けが簡単

カム機構、搬送機

包装機械、自動搬送装置

ニードルタイプ

高荷重・コンパクト

小型部品機構

ロボットアーム、精密搬送

ローラータイプ

衝撃に強い

荷重の大きい部位

産業用ロール装置

CF型

信頼性・汎用性高

一般設備全般

コンベアライン、印刷機

偏心タイプ

微調整可能

高精度位置調整部位

カム制御システム、試験装置



カムフォロアの役割と用途~どんな場面で使われる?


トラック・レールでの運動伝達

カムフォロアは、トラック(軌道)やレールの上を転がることで、滑らかに力を伝達する役割を果たします。主に、直線または曲線の動きを精密にガイドする必要がある場面で使用されます。

たとえば、以下のような機械で活躍します。

  • 自動車部品の製造ラインにおけるスライド装置

  • ロボットアームの可動部

  • 梱包機・プレス機のカム機構

  • 工作機械のATC機構

  • ローラーギアインデックス装置

特に、高い荷重・頻繁な繰り返し動作に対応できる構造が求められるため、一般的なベアリングでは対応しきれない場面で重宝されています。



搬送機械や装置での取付方法のポイント

搬送機械や産業用装置でカムフォロアを取り付ける際は、以下のポイントが重要です。


  1. 適切な取付方向を選ぶ(スタッド型) → スタッド型はボルト感覚で簡単に取り付け可能。スペースが限られる装置に最適。 

  2. カムとの接触角や位置調整に注意する → 偏心タイプのカムフォロアを使えば、微調整が簡単になり、初期位置合わせがスムーズ。

  3. 潤滑管理のしやすさを確保する → グリスニップル付きのタイプを選ぶと、メンテナンス性が向上し、寿命も長くなります。

  4. 荷重方向と頻度に応じた選定 → ニードルタイプは荷重が大きくてもコンパクトに収まるため、複雑なレイアウトに対応できます。


  5. 取り付け誤差に留意 →一般的にカムフォロアはスラスト荷重を受けない前提ですので、取り付け誤差により、スラスト荷重が作用すると異常摩耗等トラブルの原因となります。



THK・NTNなどメーカーごとの製品例

国内外には多数のカムフォロアメーカーがあり、それぞれ特長ある製品を展開しています。


✅ THK(ティーエイチケー)

  • CFシリーズが代表的。スタッド型・偏心スタッド型の両方を展開。

  • 密封性・潤滑性に優れた製品が多く、精密装置や医療機器などにも採用実績多数。

用途例: 産業用ロボット、医療用搬送装置、工作機械のカム制御部



✅ NTN(エヌティーエヌ)

  • 高剛性・高荷重向けに優れたニードルローラーカムフォロアを展開。

  • グリス封入済みで、メンテナンスフリーに近い製品もあり。

用途例: 建機、製鉄ライン、長時間稼働する搬送システム



✅ IKO(日本トムソン)

  • コンパクトで軽量なモデルが多く、小型装置に強い。

  • CFB、CFESシリーズなどが代表格で、海外にも多数のユーザーを持つ。

用途例: 小型自動機、半導体関連装置、精密搬送機構



✅ NACHI(不二越)

  • 重荷重対応とコストパフォーマンスに優れ、建設機械系に強い。

  • 耐衝撃性を意識した設計が特徴。

用途例: プレス機、産業用クレーン、輸送用装置





カムフォロアの選び方・選定ポイント【2025年最新対応】


耐荷重・回転数・形状・外径などの基本項目

カムフォロアを選定する際は、まず機械の使用条件に合った基本性能を確認することが重要です。以下のポイントを押さえて選びましょう。

  • 耐荷重(静荷重・動荷重) → 使用時にかかる最大荷重を明確にし、それに十分耐えられるモデルを選ぶ。偏荷重がかかる場合はマージンを多めに取るのが基本。

  • 回転数(rpm) → 高速回転に対応した内部構造・潤滑性があるかを確認。高回転仕様は発熱・摩耗にも注意が必要です。

  • 形状  → 取付方法や荷重方向により適した形状が異なるため、用途に応じて選定する。

  • 外径・全長など寸法 → 設備内のスペースや他部品との干渉に注意し、図面と照らし合わせて寸法を確認します。



取付スペース・用途別の規格選定

カムフォロアにはさまざまなサイズ・仕様の規格が用意されており、設置環境や機能要求に合ったものを選ぶ必要があります。

  • 省スペース設計には「ミニタイプ」 → 小型装置や複雑なメカ構造には、コンパクトなCF-M型などが適しています。

  • 重荷重がかかる場所には「ニードルタイプ」 →内部に細長い円筒形の「ニードルローラー(針状ころ)」が多数入っているタイプのベアリングで、大型装置に最適。

  • 精密機構には「偏心スタッド型」 → 位置微調整ができるため、カム機構の初期合わせがしやすい。

  • 水・薬品・粉塵環境には「密封構造・ステンレス仕様」 → 屋外や食品・医薬品分野では、耐腐食性に優れたモデル(例:THKのステンレス仕様)が適しています。




カムフォロア製造をどこに依頼すればいいか?


カムフォロアの製造を依頼する際は、「大手メーカーに頼むか、小規模な製造会社に頼むか」で大きく戦略が変わります。実際当社への相談は大手のカムフォロア製造会社さんで対応できない案件が多く、その理由はロット数や納期対応など様々です。 それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自社の目的や条件に合った製造会社を選ぶことが重要です。

大手カムフォロア製造会社に依頼する場合


【主なメリット】

  • 信頼性が高い → 長年の実績・品質管理体制・ISO取得など、安心感がある。

  • 高精度・高耐久の製品が安定供給可能 → 設備が充実しており、加工精度・材料選定も万全。

  • 特殊仕様にも対応できる技術力 → ハイスペックな要求にも応じられるケースが多い。

  • 一貫生産対応(材料~熱処理~検査) → 納期や品質ブレが少ない。



【主なデメリット】

  • 小ロット・試作に不向き → 最低発注数量が大きく、コストが割高になることも。

  • 納期が長くなることがある → 大手顧客案件が優先されるため、柔軟な対応が難しい場合も。

  • 価格交渉の余地が少ない → 標準価格・契約が固く、個別対応が難しい。




小さな製造会社に依頼する場合

【主なメリット】

  • 小ロット・短納期に強い → 試作・単品対応など、小回りが利く。

  • 柔軟な仕様変更や設計相談が可能 → 直接エンジニアと話せることが多く、開発案件に向いている。

  • コスト面でも調整しやすい → 予算に応じた加工方法の提案などが可能。



【主なデメリット】

  • 大量生産には向かないことがある → 設備や人員のキャパシティに制限がある場合も。程度によるが、ロットが増えていくと手に負えなくなってしまうことも。

  • 加工範囲に制限があることが多い → 熱処理・研磨など外注になる場合、管理が煩雑になる可能性。得意な寸法域があることが多い。




まとめ|用途に合ったカムフォロアで機械の性能を最大化


カムフォロアとは何なのか?にはじまり、役割や種類、製造会社の選び方までお伝えさせていただきました。 大手さんだからこそできるカムフォロア製造もあれば、当社のような小さな製造会社だからこそできるスピーディーな対応もあります。 また、図面の製造から対応するカムフォロア製造会社は少ないようで、そのような点でも当社はお客様に喜んでいただいております。


どんな些細なご相談でも大丈夫です。お気軽にご連絡ください。






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